『家族の舟』で学ぶペアトレ15のヒント〈10〉『家族のために料理をしている』——それが家族の文化をつくっている

「大野さんの頑張っていること、良いところは、『家族のために料理をしている』です」
——水谷インストラクターの言葉【小説『家族の舟』、第九章・ペアトレ講座一回目 より】

講座の最中、浩司は自分の「いいところ」をテキストに書くように促されます。
でも、何も浮かばない。
「家事も育児もろくにできてない」と思い込んでいた浩司に対して、
水谷は静かに、でもはっきりと伝えるのです。

「大野さんの頑張っていること、良いところは、『家族のために料理をしている』です。そのように、テキストに書いてください」


■ “日々、当たり前にやっていること”に、価値と意味を見出す

料理をすること。
弁当を詰めること。
朝ごはんを作ること。

それらは、生活の中で「当たり前」になりやすい行動です。
でも実は、それは**“家族のために動いている証”**であり、
家庭の空気や文化を形づくる、大事な営みなのです。


■ 自分の「当たり前」を、誰かに肯定してもらう経験

浩司が耳まで真っ赤にしてテキストに書いた「家族のために料理をしている」という言葉。
それは、“当たり前”と思っていた行動に、
はじめて“意味”や“価値”が与えられた瞬間でした。

こうして、自分の行動に「よかったんだ」と思えること。
それこそが、ペアレント・トレーニングの中で何よりも大切な「親の自己肯定感」の第一歩です。


■ 家族の文化は、毎日の“ちょっとしたこと”で育つ

誰かのために動いていること。
何も言わずに支えていること。
疲れていてもご飯を作ること。

こうした日々の小さな行動が、
「うちの家族って、いいな」って思える空気を少しずつ育てていきます。


■ 「いい親」は、完璧な親ではない

浩司のように、「できていないこと」を数えるより、
「今、やっていること」に光を当てる。
それを言葉にして伝えてくれる人がいたとき、
親はもう一度、家族に向き合う力を取り戻せるのかもしれません。


✍️しげのひとこと

家族の文化は、日々の“がんばってるつもりじゃないこと”で、いつのまにかつくられている。

【ペアトレをテーマにした小説を出版します】

うつ病、不登校、家庭内暴力。
沈没しかけた家族に、一つの航路が生まれた。

しげの実体験をもとにした小説「家族の舟」
2025年9月15日 「私」物語化計画より出版

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