『家族の舟』で学ぶペアトレ15のヒント〈3〉父さんも「寂しいよ」と言える?

(看護師である母・美佳子が夜勤でいない夜ーー)
「お母さんに、会いたい……」
——泣きながらそう訴える娘・亜希に対し、浩司はこう答えます。
「そっか、お母さんに会いたいんだな」
「寂しいよな。母さんが家にいないと、父さんも寂しいよ」

■ 子どもの「感情」に共感する。それだけで信頼が深まる

以前の浩司なら、「さっさと寝ろ!」と怒鳴っていました。
でもこのときの彼は、違いました。
寂しがる娘を、怒るでも、無理に励ますでもなく、ただ、「そっか」と受け止めたのです。

■ 行動を促す前に、まず“感情を受け取る”

ペアトレでは、「行動を変えたいなら、まず関係性を築く」ことが前提です。
そのためには、相手の感情に言葉を与えるという“翻訳作業”が必要です。

「会いたいんだな」「寂しいんだね」と言葉にすることで、
子どもは「ああ、この人はわかってくれてる」と感じ、心を開きます。

■ 共感は、親の余裕から生まれるもの

でも実際は難しいですよね。
忙しいとき、イライラしているときに「共感的な言葉」を出すのは至難の業です。

だからこそ、浩司のこの変化には意味があります。
**「父さんも寂しい」**と、自分の弱さも言えるようになったこと。
それは、親としての“本当の強さ”なのかもしれません。

✍️しげのひとこと

子どものこころを動かすのは、常識や正しさより、共感。

 


 

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