『家族の舟』で学ぶペアトレ15のヒント〈13〉「うまく、並べてるね…」——褒めるのが、こんなに恥ずかしいとは思わなかった

「…うまく、並べてるね…きれいに、リカちゃん人形を…上手だよ」
——浩司が娘・亜希に向けて、はじめて“褒めよう”とした場面より【小説『家族の舟』第10章「褒める」より】

親が子どもを褒める。
たったそれだけのことが、こんなにも緊張して、こんなにも恥ずかしくて、
こんなにも“言葉にならない”ものだなんて、思ってもみなかった——
浩司のその気持ちに、共感する親御さんはきっと多いと思います。


■ 頭ではわかってる。「褒めなきゃ」って。でも…

浩司はこのとき、「褒めることが大事だ」という知識はもう持っていました。
でも、いざ実践しようとすると、
過去に怒ってばかりいた自分、距離をとってきた自分が邪魔をしてきます。

「今さら褒めても、白々しいと思われないか?」
「不自然すぎて、逆に嫌われないか?」

そんな思いがグルグルと頭の中を回ってしまう。


■ 褒めるのが照れくさいのは、「関係を変えようとしている証」

褒めるときの“あの照れ”は、ただの感情ではありません。
それは、**「今までの関係から、一歩踏み出そうとしているサイン」**です。

ずっと怒ってきた自分。
距離を置いてきた自分。
その延長線上にはない行動を、あえてやってみようとする時、
人は自然と“恥ずかしさ”を感じます。
でもそれは、すごくすごく尊い勇気なんです。


■ 褒める言葉が不器用でもいい。伝えようとすることに意味がある

浩司のセリフは、日本語としてめちゃくちゃでした。
「うまく…きれいに…上手だよ」——何がどううまいのかも曖昧だし、
声も裏返って、耳まで真っ赤になる。

でも、それでもいい。
そのぎこちなさにこそ、「ちゃんと見てるよ」「伝えたいんだよ」という気持ちがにじむからです。


■ 子どもは、言葉の“正しさ”より、“まなざし”を受け取る

うまく言えなくてもいい。
子どもは、親が自分のそばに来て、自分を見てくれて、話しかけてくれたことそのものを受け取ります。

だから、「上手に褒めよう」としなくても大丈夫。
「ただ、声をかけよう」から始めてみてください。


✍️しげのひとこと

言葉はうまく出てこなくても、“変わろうとする姿”は、ちゃんと子どもに届いています。

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