『家族の舟』で学ぶペアトレ15のヒント〈5〉パワハラで学力は伸びないが、「子どもが言うことを聞く」と誤学習してしまう
確かに、美佳子や娘たちを大声で怒鳴った後は、イライラが吐き出された気がする。
でもすぐに後悔して、“もう優しくしよう”と反省する。
けれどまた数日後には同じことを繰り返してしまう。「家族の舟」 第13章 ペアトレ講座・三回目 より
これは、父・浩司のような語る“怒鳴ってしまう親”のリアルなループです。
怒った直後は、子どもが動く。言うことを聞く。
だから、「怒鳴れば子どもに指示が通る」と勘違いしてしまう。
■ 「怒ったら子供はいうことを聞く」は、誤学習
親が怒鳴る → 子どもが一時的に言うことを聞く → 親は「うまくいった」と思う → 親の怒鳴る行動が強化されてしまう。
これを「誤学習」と言います。
このような負のスパイラルが続き、「子育てに怒ることは必要」と、
誤った認識を刷り込まれた親ができてしまいます。
そしてエスカレートしすぎて、DVや虐待という悲しい事態に発展してしまいます。
■ 「怒ったから子どもは動いた」のではなく、“縮こまっている”だけ
小さい子供は、「怒る親が怖いから」黙る。
いうことを聞かないと、きつく怒られるから従う。
ある程度成長して思春期を迎える頃になると、
「いちいち怒る親がウザいから」黙る、距離を置く、
そして反発する。
その親子関係には、“納得”も“理解”もありません。
怒鳴って行動を制御するのは、「支配」であって「教育」ではないのです。
■ 親は“怒る以外の方法”を知らなかっただけかもしれない
浩司も、父である剛史から怒鳴られ、殴られて育ってきました。
それが嫌で仕方なかった。
しかし、それしか方法を知らない浩司は、
自分の娘たちにも、同じように接してしまいます。
そんな浩司が変わったのは、怒ることを否定されたからではなく、
“褒める”という新しい手段を知ったからです。
怒鳴らずに伝えるにはどうしたらいいか。
子どもを動かすのではなく、子どもと“つながる”方法を考える。
それが、ペアレント・トレーニングの第一歩です。
✍️しげのひとこと
僕自身も、子どもを「どう育てるか」より「どうつながるか」を意識するようになってから、少しずつ親子関係が変わった気がします。
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うつ病、不登校、家庭内暴力。
沈没しかけた家族に、一つの航路が生まれた。
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