今、俺はオフィスの窓際の部長の席の前に立っている。いや、”立たされている”目の前では部長が鬼の形相で説教をしている。しかし、さっきから眠たくて仕方がない。立っていられないくらい眠い。このままでは1分後には、眠ってしてしまうだろう。そんなことしたら、部長はさらに怒り狂うだろう。ひょっとしたらクビになるかもしれない。

3日前、得意先からクレームがあった。それをカバーするために、俺は会社に泊まり込んで作業をした。仮眠もほとんど取れていない。

部長の説教はまだ続いている。30秒が経過した。足元がふらつき始めた。部長の説教はさっきから同じことばっかり言ってる。話す内容を変えてくれれば、こちらの目先も変わって眠気も紛れるだろうに、同じ内容だから退屈で眠気がさらに強まる。

45秒が経過した。もうだめだ。眠気に負けてしまう。まぶたが重りをつけたようで、勝手に降りてしまう。

「おい! お前、寝てるのか!」

と部長が遠くで叫んでいる。いや、実際には目の前で叫んでいるのだが、眠気が強すぎて遠くの方から聞こえる。

1分経過・・・僕のまぶたは完全に締まり、僕は眠りに落ちた。

次に意識が戻った時、僕は病院のベッドの上にいた。頭に包帯を巻いて。

ベッドの横には同期入社の同僚がいた。その彼がいうには、俺は眠ると同時に後ろにぶっ倒れたらしい。そして机の角に頭を打ち、そこから血が吹き出た。すぐに救急車が呼ばれ、病院に運び込まれた。それでも俺は眠り続けていたらしい。

しかも、俺は1週間も寝ていたらしい。

「そういえば、部長、クビになったよ」

「は?」

「今回の得意先からのクレームの原因、結局部長のミスだったらしい。それをうやむやにするために、お前に無理な仕事を押し付け、さもお前の責任のように見せるために、説教しまくってたらしい」

「なるほどね

「それとお前、係長に昇進だって。今回の頑張りが評価されて。得意先も許してくれて、社長がすごく喜んでいたよ」

「あ、そう

別に嬉しくなかった。だって、退院したら辞表を出すつもりだったから。こんなブラック企業で働いていたら、体がいくつあっても足らない。